出生前診断
当科では患者さんが、「おなかの赤ちゃんに異常がないことを確認して安心して妊娠生活を送るため」胎児の出生前診断に力を入れています。
出生前診断とは遺伝性疾患や高度の外表あるいは内臓奇形を持つ赤ちゃんを生まれる前に診断することです。
当院では最新で最高性能を有するGEヘルスケアの3D/4D超音波(Voluson E8 Expert ver09)や羊水検査などを用いて出生前診断をおこなっています。
もし赤ちゃんに何らかの異常がある場合には、事前に確実に診断がなされることで、赤ちゃんの治療専門医と生まれてからの対応策を練り、赤ちゃんにとって一番良いスタートを切らせてあげ、出生後のベストな処置や対応にのぞむことができます。
場合によっては、より高度な治療のできる施設へ責任をもってご紹介させていただくこともあります。
「胎児ドック」では、通常の超音波検査では診断が難しい赤ちゃんの脳、脊髄、心臓といった重要な臓器の細かい構造や血流、顔や四肢などの異常がないかどうかにつき超音波を用いて胎児診断の世界的権威である夫律子先生が診断を行います。
スクリーニング検査
スクリーニング検査とは、多くの人から異常がありそうという人を探しだす検査です。
普段行っている超音波検査がこれに当たります。当院で通院している全ての患者さんに対して無料で井下医師が自動的に下記のことを行っております。これらのことを行っているため外来の時間が長引いておりますがご了承ください。
しかし、超音波で多少の問題があったとしても結果をお聞きになることを望まれない患者さんもおられると思います。その際には、その旨をお伝えください。。
・初期スクリーニング(初期ドックと同様の内容です):妊娠12週前後に行っています。ダウン症などの染色体異常や重症心奇形などがある場合この時期にNT(うなじのむくみ)の肥厚・鼻骨の欠損などの兆候があらわれることがあります。このスクリーニングに関しては国際的な基準がありイギリスのFMF(fetal medicine foundation)がその資格を発行しています。2012年3月現在この資格を持っているのは日本中で、NT資格45名、鼻骨資格24名、顔面角度資格18名、静脈管血流資格22名、三尖弁逆流資格18名のみです。当院ではこの資格に合格した人にのみ与えられる「初期スクリーニングソフト」を用いて染色体異常のリスク計算を行っています。(後述)
・妊娠初期組み合わせテスト:2012年3月より、上記の超音波検査に初期血清マーカー(PAPP-A, free βhCG)を加えた、妊娠初期組み合わせテストを開始しました。この検査により、染色体異常の検出率を上げ、なおかつ偽陽性率(実際はダウン症などの染色体異常がないのに陽性とでること)を下げることができるようになりました。つまり、今までの超音波のみの検査ではダウン症などの染色体異常の確率が高く出てしまっていた患者さんの数を減らせた上で、染色体異常の見つかる確率も高くなったということです。初期血清マーカーについての説明は、当院で胎児ドックをしていただいている夫律子先生のクリニックのHPに詳しく書かれています。現在、香川県内でこの検査ができるのは当院だけです。
妊娠初期組み合わせテストをご希望される方は妊婦健診(母子手帳交付後の最初の受診)前にお知らせください。
料金は保険が効かないため消費税込みで21000円となります。
他院にて妊婦健診中の方でも検査させていただきます。その際は、診察料、超音波料、消費税込みで25000円となります。(血液検査だけでは無意味ですので行っておりません。)
結果は、超音波と採血の結果を組み合わせた上でのダウン症など染色体異常の確率を印刷してお伝えします。
*採血は月曜日から金曜日
・中期スクリーニング:妊娠20週頃までに下記につきチェックを行っています。
顔・頚部:鼻骨、口唇、眼球など
心臓:心臓内部、血管、胸水など
腹部:臓器、腎臓、性器、腹水など
臍帯:数、付着部、捻転など
四肢:上肢、下肢、指など
背:脊椎
脳:構造、脳室、小脳など(経膣超音波)
早産予知:頚管長など(経膣超音波)
・後期スクリーニング:奇形の頻度が最も高くまた出生前診断が出生後の赤ちゃんの予後に大きな影響を与える「心臓」の再検査、及び妊娠28-29週以降で深くなってくる脳のしわなどのチェックを行っています。
初期スクリーニングソフト
上図はイギリスのFMF(fetal medicine foundation)が初期超音波資格保持者のみに提供しているソフトウェアです。
年齢、人種、週数、染色体異常妊娠既往と超音波のデータを入力することにより、赤ちゃんが21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、13トリソミーである確率、妊娠高血圧症候群(=妊娠中毒症)を発症する確率を計算することができます。
この検査は従来から妊娠中期に行われている染色体異常を予測する検査(トリプルマーカー、クアトロテストなど)よりも感度が高い検査です。
*全員に対して確率計算を行っていますが、特に異常がない場合は細かい数値の説明まではおこなっておりません。(ご希望があればスクリーニングを行った次の妊婦健診時に結果を印刷してお渡しすることも可能です。)
羊水検査
羊水検査とは、羊水穿刺によって得られた羊水中の物質や羊水中の胎児細胞を調べ主に染色体異常の診断を行う検査です。
スクリーニングで異常が出た場合に診断を確定するための検査です。
当院では羊水検査は、16-17週で行っています。
羊水検査による流産・破水というリスクは0.3-0.5%くらいといわれていますが、できるだけ安全に検査ができるよう検査前に採血を行うなどの工夫をしています。
今までは、2週間程度で最終結果(全ての染色体に対する結果)のみが得られておりました。しかし、2012年3月よりQF-PCRという技術により、採取後わずか3日程度で21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、13トリソミー、性染色体異常を知ることができるようになりました。最終結果は今までと同様2週間程度です。(値段は今までと変わりません)
保険が効かず羊水を当院で採取した後、検査の解析は外部の検査会社に委託しているため費用はすべて自費(消費税込みで10万円)になります。
