当院で母子同室・母乳育児を推奨する理由
当院は、おっぱいで育てたいと願うお母さんの母乳育児を応援しています。
第二次世界大戦後、アメリカ軍の命令により日本に新生児室ができ、母子別室で人工乳を与えられるようになりました。当時は、自宅分娩での妊産婦死亡率や新生児死亡率が高かったため、病院での安全な分娩管理を重要視したからです。その結果、日本での母乳率はどんどん低下し20%まで落ち込んだ時期もありました。
しかし、この頃から精神的に不安定な子供、社会に適応できない子供が増えはじめ、アレルギーの子どもも増加してきました。最近では児童虐待も急増し現代の大きな問題となっています。
この一見無関係に思われる事実に、重要な関係があることが最近になってようやくわかってきました。「出生直後に母と子が離されること」が、その原因の一つになっていたのです。
”赤ちゃんは、何も分からない”と以前は考えられていました。しかし、実際には目も見えるし、お母さんと離れていることを敏感に感じる!ことがわかってきたのです。
赤ちゃんは必死に生まれてきて、その瞬間からお母さんを求めて泣きます。元気に生まれてきたことを伝え、そばにいてほしい、抱いてほしいと泣いているのです。この時しっかりお母さんに抱いてもらえないと、不安でいっぱいになります。
一方、お母さんも出産直後に赤ちゃんと離れると、母性愛がわきにくくなることが分かってきました。実際、自分の子どもを愛せないお母さんが増えていることは、とても悲しいことです。
”母性愛は本能ではなかった”のです。出産直後に赤ちゃんと一緒にいて、おっぱいを吸わせることで初めて母性愛がわいてくるのです。
赤ちゃんをだっこして、目を見てやさしく声をかけて、おっぱいをあげましょう。それが赤ちゃんにとって、一番幸せなことであり、お母さんにとっても喜びとなります。この繰り返しによって、赤ちゃんが生きていくうえで最も大切な、人を信じられる力(=基本的信頼関係)となって、母と子の絆がゆるぎないものになります。これらは、数日後では取り戻せない重要な時期なのです。
子育てのスタートがうまくいくと、お母さんも楽しく育児ができ、赤ちゃんもしっかりと”安定した心”と”丈夫な体”が育ちます。ここが、うまくいってないことが、現代の色々な問題の原因になっていると考えられます。
WHOやユニセフも「母乳育児のための10ヶ条」を1989年に発表し、それができる病院を「赤ちゃんにやさしい病院」に認定する活動をしています。母乳で育てられなかったために、世界中で1日約3000〜4000人の乳児が死亡している現実もあります。母乳の免疫力はそれほどすごいのです。
当院は出産直後のだっこ、直接授乳を行っており、24時間母子同室ができるようになっています。また、個室のベットはセミダブルサイズですのでゆったりと添い寝ができます。
生まれてすぐの赤ちゃんははっきりと目覚めていて、おっぱいをよく吸ってくれます。この時少し飲む初乳が細菌の侵入を防いでくれます。安心したその後は、疲れを癒すようにぐっすりと眠るでしょう。お母さんは一緒のおふとんで寝てあげてください。とても自然なことで、決して難しいことではありません。次に目覚めた時、そい寝で初乳を飲ませてあげましょう。私たちスタッフがお手伝いします。お母さんが疲れたり、眠りたい時などは、新生児室での一時預かりもしています。家族の方も泊まっていただけます。
母乳は、
・赤ちゃんと一緒にいて、
・ほしそうにしたら吸わせること、
・生まれた日から吸わせて、
・生後3日は人工乳をあげないこと
で、自然に必要な量が出てきます。
人工乳を最初に与えられると、アレルギーの原因になってしまうこともあります。哺乳びんの乳首の形を覚えてしまうと、お母さんのおっぱいを吸えなくなることもあります。最初の2日間が、お母さんと赤ちゃんのがんばりどころです。おっぱいは出るようになったら飲ませるのではなく、赤ちゃんが吸ってくれるから自然に出てくるものなのです。
あなたもおっぱいで育てられます。一緒にがんばってみませんか?
これから生まれてくる赤ちゃんの将来を今、夫婦、家族でよく考えてみてください。
子育ては、赤ちゃんを立派な大人にするまで続きます。夫婦ふたりで先のことをよく考え、話し合いながら協力していきましょう。できれば出産から立ち会いましょう。
1歳までは、しっかり抱いて、赤ちゃんの心も育つ育児をしましょう。
ご意見、希望、質問等は、いつでもお気軽にご相談下さい。
